デザイナー | DESIGNER
デザイナー | DESIGNER

阿部 和美 | Kazumi Abe

デザインの先に見据えているもの。
阿部さんにとって、それは常に「人」であり、「暮らし」である。当たり前のこのように聞こえるが、それが置いていかれているデザインは少なくない。

CONBRIOは遊び心あふれるオブジェのようなコートハンガーだ。このハンガーには、楽しいしかけが施してある。
白い支柱からのびる枝の先の、革ひもが付いた木肌仕上げの丸棒は、ひっぱると抜き取れてジャケットやコートをかけることができる小さなハンガーとなる。訪れたお客さんの「あ!」という驚きの笑顔と、そこから生まれるコミュニケーションを想像しながらデザインしたという。個性的なデザインでありながら、どこか控えめな、不思議な存在感を湛えている。

阿部さんのデザインには、日々の暮らしの中の幸せや喜びのようなものが随所にちりばめられている。「自分に無理をしていない」と阿部さんは言う。結婚と出産を経験し、子どもとの暮らしを始めて、それまで不便だと思わなかったものに不便を感じるようになったことや、暮らしの中のちょっとした工夫。そういう視点からのデザインが楽しい。特別に変わったものではなく、長く愛されるもの。手の届かないものではなく、暮らしの中に共にあるものを作りたいと考えている。

阿部さんの携る仕事は、日本の伝統工芸やメーカーからの依頼を受けてのデザイン、インテリアデザイナーとして直接クライアントと関わる仕事、そして自己表現としてのデザインなど多岐にわたる。仕事の場所や見た目の表現方法はそれぞれ異なるが、「人」や「暮らし」に対する優しく、時に鋭い眼差しが、常にぶれることなく根底にある。彼女のデザインに押し付けや独りよがりな強さを感じないのは、まず使う人と暮らし、そして作り手のもっている技術や強みは何であるかということへの徹底的な探求が前提としてあるからだろう。ものの魅力をストレートに伝えることが阿部さんにとってのデザインであり、デザインに固執せず、自分のスタイルを限定しない。使い手と作り手の間をニュートラルなスタンスで行き来する、女性らしいしなやかさを感じるアプローチだ。

プロダクト - COMBRIO