金属製のテーブル脚の場合、既製のパイプを曲げたり、溶接して作られる工業的なものが多くを占めますが、この Bridge across のような大型の鋳物の脚は、職人の手仕事の技術が息づく日本の工芸だからこそ実現できた製品です。
鋳物の技術は主に仏具や仏像に用いられ、近代ではアートオブジェやモニュメントなどの製造に活かされています。これまでの鋳造は主に1点限りのものを製造していましたが、私たちは日本の優れた鋳物技術を、持続的な「プロダクト」や「道具」の製造として取り組むことで産地の技術が活かされ、これまでの産業の方向性をも変えていけるのではないかと思っています。
脚は富山県高岡市の砂型鋳物のメーカーで製作しています。砂型鋳物は、砂を入れた箱の中に原型を入れて押し固めてから型を慎重に抜き取ります。雄型と雌型の両方を同じように型を取り、雄雌の型を合わ せて一つの箱を作ります。その箱の中にドロドロに溶解した金属を流し 込んで冷えて固まった頃に砂型を壊して品物を取り出します。
型から取り出したばかりの鋳肌には光沢がないので、研磨して艶を出します。大きな面を荒く磨く荒仕上げから、段階的にバフの粒子を細かくして、最後は鏡のような輝きを放つ鏡面仕上げや細いラインを残したヘアライン仕上げにし、金属の豊かな表情を作っていきます。
ブロンズの特徴は他の金属素材と比較して比重が重いため、小さなサイズであっても安定性を確保できることが大きな魅力です。その特徴を活かして、最大 3200ミリまでの長尺の天板幅をラインナップに揃えることができました。
ブロンズは時間が経過すると緑青と言われる錆が現れてきます。 Bridge across は、薄くクリアラッカー仕上げをしてブロンズの輝きを大切にしながら、素材独特の自然な経年変化がゆっくりと進行してゆく余白を残しました。
時間の経過とともに変化することへの価値を見出すことが出来る製品です。