「石版画 と 復元」

石版石に残るイメージ 〜 商用ラベル・地図・銀行証書・解剖図
Itazu Litho-Glafik
会場:TIME & STYLE MIDTOWN
会期:8月10日(土)〜

この度 TIME & STYLE MIDTOWN では板津石版画工房の板津悟氏を迎え、板津氏の確かな刷りの技術と、石版印刷(リトグラフ)の魅力をご紹介いたします。
本展では、刷り出されたプリントと共に、滅多に目に触れることがない石版印刷(リトグラフ)の石版石をあわせてご覧いただける貴重な機会となります。
ぜひご高覧ください。石版石とは、1798年にドイツでアロイス・ゼネフェールダーによって発明された石版印刷(リトグラフ)に使われる主にドイツ・バイエルンのゾールンホーヘンで産出される石灰石です。ジュラ紀のサンゴ礁の砂、藻、プランクトンなどが堆積し1億年の地殻変動の末、石灰石となってゾールンホーヘンの地表に現れます。水と油を同時に吸収する性質が石版印刷の発明を導きました。
1820年代にはヨーロッパ全土で石版印刷が拡まリ、日本でも明治に入って本格的に行われるようになりました。しかし、その後の金属版オフセット印刷機(現在の印刷)の普及により石版石は使われなくなり多くは廃棄されました。店内に置かれた石版石は、数十年から百年前に実際に印刷会社で印刷に使われていたもので、そのままの図像が残されています。それぞれ職人のエングレービング技法や写真転写方法などがみられ、その時代ごとの印刷物に対する職人のアプローチが見えてきます。
今回これらの石版石をもう一度リトグラフ用印刷機(プレス機)を使い、紙に刷り、その時代時代の職人たちの確かな技術と、魅力的な表現を復元しました。(板津石版画工房 板津悟)