ART IN TIME & STYLE MIDTOWN VOL.16 COSMICOMICS

作家:白井美穂
会期:2017年7月28日(金)〜10月1日(日)
TIME & STYLE MIDTOWN

この度 TIME & STYLE MIDTOWN では、白井美穂氏を迎え 展覧会「 ART IN TIME & STYLE MIDTOWN VOL.16 COSMICOMICS」を開催しています。 白井美穂氏の表現は多様な物事の核心を突きつつも、一貫して華やかで軽妙です。 インスタレーション、絵画、立体、映像、写真と様々な表現方法をとっていますが、それぞれのジャンルに囚われず、固有の表現は常に次の新しい表現を見出しているかのようです。伝統を汲み取りながら常に革新的な家具を提案しているTIME & STYLEの空間に、新作作品が如何に作用するのか。インテリアショップだからこその空間作り、インスタレーションをご期待下さい。
宇宙創世の頃から存在していたというQfwq老人の語るおとぎ話「レ・コスミコミケ」※。老人が無限の空間につけた最初のしるし、その連鎖と繰り返されるしるしの氾濫。無数のしるしを通して連続性が出来上がり、分明な境界線はなくなっていく。渦巻く星雲の追いかけっこや、彎曲した空間のカーブに沿ってビー玉のようにアトムを転がして遊んだという、めくるめく反転を伴った宇宙創世のお話は、作品が現実空間を形作る過程と照応するかのようだ。
※レ・コスミコミケ ハヤカワepi文庫 著者 イタロ・カルヴィーノ 翻訳 米川良夫
Le Cosmicomiche 1965 Italo Calvino限定された領域の内に無際限の空間と時間を示唆する構造を作ることを試みながら、絵画、映像、立体作品を制作しています。「COSMICOMICS」で展示される矩形のキャンバス作品は、画面の上辺と下辺をそれぞれ天上と地上と仮定し、天地創造について図解した中世の白黒の図版を参照しつつ、独自の色彩で描いたものです。天体と地上との照応関係に関心を寄せ、宇宙全体が一つのハーモニーを奏でていると考えた当時の神秘的思想にインスパイアされながらも、抽象的な形態による画面はレコードや合成繊維の布切れといった現代的なモノに接合されることで、新たに奇妙な動きを生み出します。これらの絵画やオブジェは、空間を軌道に沿って進む原子、あらゆるものを巻き込んで渦を巻き、常に新たに生まれ終わりなく繰り返される天体の動き、といったものの一端が、日常空間の中にどこかコミカルに出現したかのような姿をしています。
(白井美穂)

白井美穂 Mio SHIRAI
1988年東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了。
主な個展に2016年「Book of Silence」nap gallery(東京)
2013年「ROADSHOW」void+(東京)、「春のめちゃく茶会」TRAUMARIS(東京)
2011年「Magic Carpet Ride」ギャラリー古今(東京)
2009年「Unknown Binding」BankART NYK(横浜)
2008年「Mio Shirai / Forever Afternoon」Northern Gallery for Contemporary Art(サンダーランド イギリス)など多数。

主なグループ展に2017年「アブラカダブラ絵画展」市原湖畔美術館(千葉)
2015年「Reflection 返礼—榎倉康二へ」秋山画廊、Space23℃(東京)
2013年「あいちトリエンナーレ2013 揺れる大地」愛知県美術館(名古屋)
「瀬戸内国際芸術祭」宇野港(岡山)
2010年「To-Be 東京+ベルリン コミュニケーションアート」Freies Museum Berlin(ベルリン)
2008年「アーティスト・ファイル2008—現代の作家たち」国立新美術館(東京)
1991年「ザ・サイレント・パッション 日本の女性アーティストたち」栃木県立美術館(宇都宮)、「第7回インド・トリエンナーレ」ラリット・カラ・アカデミー(ニューデリー)
1989年「Art Today 1989—主題のない四楽章」高輪美術館(長野)など。