聖コロンバ教会ケルン大司教区美術館は、既存の建築と新しい建築が見事に融合された美術館である。この美術館の読書室で使われているサイドテーブルを日本の素材と技術を用いて製作した。
古くから稲作が行われてきた日本では、祭事に餅つきをして祝う文化が現代にも残っている。欅の丸太を削り出して作られる臼の製造技術を用いて、純粋な形をしたプロダクトを実現できないかと考えた。
1本の丸太から削り出されたテーブルの側面は欅の美しい木目を持ち、テーブルの天板は鮮やかなカラーで塗装されている。塗装は天板の縁で切り替わり、塗り重ねられた明快な色彩と圧倒的な存在感を持つ丸太の木目を対比させることで、モダンな印象を与えている。天板の鮮やかな4色のカラーバリエーションは空間に彩りを与え、2種類のサイズバリエーションによってリズムを生む。
長い時間を生きてきた1本の木は、家具として生まれ変わり、人々の生活の中で新しい時間を刻んでいく。時間を経ることで色が変わり、時にはヒビが入り、姿が変化していく様は、原始的な自然の力強さを人々の感覚に訴えかけてくる。