建築家 隈研吾氏と小倉織を復元・再生した染織家 築城則子氏によって、テキスタイルブランド「KUMASHIMA」が誕生しました。「葉脈」をテーマに、自然素材である木綿、草木をモチーフとした色、光からうまれる影が美しく浮かび上がり、素材が持つ手触りが五感へ伝わります。タイムアンドスタイルは、隈研吾氏と家具製作を、小倉 縞縞と日本のテキスタイルの開発を続けてきました。この発表会では、建築、テキスタイル、家具の3社が結びついたことで生まれたプロダクトをご覧いただきます。
「植物の力」 を共通言語としての創作活動が続きました。自然の色彩を活かす築城氏の姿勢は、土着的な手法で建築を環境に溶け込ませる隈氏に通じ、目指すイメージの共有に長い時間はかかりませんでした。縞の持つ抽象性に魅了された両者が生み出した、新たな日本のテキスタイル表現となっています
会期: 2023年5月18日(木)- 6月20日(火)(会期中無休)
11:00 – 19:00
会場 Time & Style Atmosphere
東京都港区南青山4-27-15
TEL: 03-5464-3205
Textile photos: Masayuki Hayashi
植物が持つ緑色の多彩さは言葉にできない程、重層的です。葉の、まるみ、鋭さ、厚さ、薄さ、明るさ、深さ、ひとつとして同じものがなく、自然への畏怖を感じずにはいられません。
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KA sofa, designed by Kengo Kuma
陽の射さないような深い森では、日常では思いもよらないような木霊が飛び交っているようです。生きとし生けるもの、すべてが共に在り続けられるよう、謙虚に願う気持ちを緑という色が受け止めてくれます。
闇という漢字には音が在ります。見えていなくても存在する様々なものを感じ、尊重する思いを、ダークグレイから黒の世界で表現しました。その「気」が発する音色は、縞に通じます。
FU sofa, FU partition, FU bed, FL low table designed by Kengo Kuma
光が透けて入ってくる窓越し、見えている色は何?目を細めた時に飛び込む数々の白い光の筋。光のドレープを小倉織の布に映した、白い世界です。
FU sofa and FU bed, designed by Kengo Kuma
小倉織は、江戸時代初期より、豊前小倉藩(現在の福岡県北九州市)で袴や帯などとして織られ、全国で珍重されていました。徳川家康も愛用した、地厚で丈夫、しなやかな質感の木綿布。多用した経糸たていとが色のリズムを生み、立体感あふれるたて縞が特長です。明治以降は学生服として全国で愛用され、400年以上にわたる歴史をもちます。昭和初期に一度途絶えたものの、染織家 築城 則子によって復元・再生され、現在も更なる進化を続けています。2022年、「小倉織」は特許庁による地域団体商標に登録されました。また、手織りによる「小倉織」が、福岡県知事指定特産工芸品に指定されました。