前板のつまみを引くと、中の木製トレーが引き出されます。これに連動して上開きのフラップ扉も緩やかに上がります。この仕掛けは日本の古い道具のアイデアに倣いました。職人たちの知恵を基に、単純な機構による機能的な収納家具を作ろうと考えました。木製トレーを引き出 時、木が擦れ合う音が、心地よい感覚を呼び覚まします。
キャビネットの側面と上面、背面にはスモークガラスをはめ込んで、中のトレーとフラップ扉の動きが見えるようにしました。また、ガラスと組み合わせることで、工芸的な要素だけでなく、現代の生活に溶け込みモダンな空気を持ちます。書類のほかにオブジェやジュエリー、シャツなど、大切なコレクションを収納して自由に使ってほしいと思います。