これまで家具では使われることがなかった日本の鋳物技術を使い、自由な造形性を活かした家具づくりをしてきました。このテーブルはその考えを象徴的に表したプロダクトだと言えます。ブロンズを鋳造した 脚部の表面はヘアライン仕上げとし、艶を抑え、素材が持つ重厚感を存 分に表現しました。一体の彫刻に力が宿るような力強さと有機的なライ ンによる繊細さが共存しています。
時間の経過とともに、ブロンズは酸化して黒ずみ、緑青が現れます。完成したばかりの仏像や仏具が光を放つ姿も優雅ですが、時間と共に黒色化して強さを秘める姿にも美しさがあります。日本人が、朽ちていく様や儚さに美しさを感じ、価値を見出す感性を持つのは、あるがままに受け入れる精神性によるものです。