建築家・隈研吾氏によって設計されたこのカフェは、太平洋が一望できる崖の上にあります。建物の中央部には、アラスカヒノキを49層に積み上げた、1500本もの角材が大きな1本の木のように建築物を支え、外周部の柱を消しています。外装にはガラスを用い、周囲の自然に溶け込むようにデザインされています。
家具はガラスやミラーを表面材に使い、周りの景色を投影させ、家具や什器としての存在感を消しています。キッチンの扉やカウンターデスクの腰壁などの強度や耐久性が求められる箇所は、ステンレスのミラー仕上げとしました。ガラスやステンレス、ミラーなど異素材の組み合わせによる小口の納まりやディティールは丁寧に作り上げています。
ステンレス製鏡面仕上げのカフェテーブルの脚は、高い研磨技術を持つ新潟・燕三条で製作しました。ミラーのような美しいな映り込みを持つ鏡面仕上げのクオリティは、建築や内装の透明性を決定する大切な要素です。また、ガラスの天板とステンレス製の脚は、ハイクリアコーキング材という透明度の高い接着剤で固定しています。ガラスとステンレスは温度変化によって多少伸縮するので、ハイパークリアコーキングという非常に透明度の高いコーキング材で接着しました。この工程は、手作業による精度が求められる方法です。
チェアは、隈氏とタイムアンドスタイルで共同開発したGCチェアを使用しています。屋内では、規格のブナ材で、屋外は耐久性を確保するためチーク材で製作しました。オイル仕上げのチーク材は時間の経過とともに色や質感が変化し、外部のデッキ材や周りの自然と調和していきます。