Philosophers loungeは断面を楕円形状に削り出した無垢の木フレームと幅広のアーム、置きクッションで構成されたラウンジチェアです。一人掛けソファと比べて軽量で移動させることができ、身体全体を預けて長時間快適に過ごすことができる座り心地を大切にしました。
手を載せる部分にわずかな膨らみをもたせた幅広のアームは、シャープなアウトラインが脚部のフレームへと滑らかに繋がり、全てのパーツがシームレスに交わります。背柱と座枠が交差し、それを支持する後脚と貫の接点が作るフレームの構成美は、オブジェのような要素を感じさせます。また、楕円形の断面形状を持つ木フレームは全体的に柔らかな印象の中に、凛とした緊張感を漂わせます。
繊細に削り込んだ木フレームに添えたクッションは、身体をしっかりと支えるウレタンとその周囲をフェザーバックで包み、適度なルーズ感と座り心地を確保しました。マチ付きのクッションはクラシカルな印象を生み、チェア全体を上品に仕上げています。クッションを支える板状のルーバーは、1枚1枚を丁寧に面取りして上質に仕上げています。ルーバーは、通気性の確保とクッションに取付けたベルトを巻きつけてチェア本体へ固定する役目も担います。
ラウンジチェアのパーソナルな快適性が、リビングでの多様な過ごし方や豊かな時間の創出へと繋がります。
座面は、鞄の産地である兵庫県・豊岡で2枚の厚いヌメ革を重ねて縫い合わせ、1枚のシートに仕立ています。背から座面までの1枚仕立てのシートは、ウレタンクッションやバネを用いたチェアのように硬さや座り心地を調整することができません。背と座の角度や沈み込みは革の張り具合のみに頼るので、最適な張り感と心地よい座り感を実現する繊細なバランスを探りました。
シートは、革を二重に挟み込みボルトで固定するというシンプルな構造としているので、長く使用している間に革が伸びた場合でも、穴を開け直して修正することで快適な座り心地を維持することが出来ます。ヌメ革のシートは天然素材だからこそ、ゆっくりと時間をかけ、手を加えながら身体に馴染んでゆきます。
オーク材のフレームは広島県の椅子工場で削り出し、兵庫県・姫路で作った厚いヌメ革を兵庫県・豊岡で裁断縫製しています。日本のそれぞれの地域産業の特性を生かし、職人の手によって一つひとつ生み出されたこの製品は、日本の地域性の可能性を示す新しい形のチェアです。
Sunset
Armchair
W85×D75×H78×SH41×AH58
Oak – Charcoal grey
Tanned leather – Dark brown
BDTI-508