Stool

Bronze casting sculpture

 

富山県・高岡の鋳物技術の始まりは今から400年程前に遡ります。鍬や鎌などの農機具の製作から始まり、その後、仏像や仏具等が作られるようになり、近代ではアートオブジェやモニュメントの製作に鋳物技術は活かされています。

Bronze casting sculptureは、これまでの家具の世界では使われることがなかった日本の鋳物技術を使い、その特徴である自由な造形性を活かしたプロダクトです。ブロンズはアルミなどの軽金属よりも比重が大きく、小さなサイズでも全体の重量が重くなります。ブロンズを鋳造し、艶を抑え、素材が持つ重厚感を存分に表現することで、一体の彫刻に宿るような力強さとシャープなフォルムと繊細さを共存させました。

 

鋳造は1200~1300度に溶解したブロンズを砂でできた型に注ぎ、自然に温度が下がるのを待ちます。温度が下がり、ブロンズが固まったら砂型をハンマーで壊して中の鋳物を取り出し、表面を丁寧に研磨して仕上げていきます。この全ての工程は手作業で行われます。まさに一つの彫刻を作り上げるように生み出しています。

時間の経過とともに、ブロンズは酸化して黒ずみ、緑青が現れ、表情を変えていきます。朽ちていく様子や移りゆく姿の儚さに美しさを感じ、尊い価値を見出す感性を映し出したようなプロダクトです。サイドテーブルやスツールとしての機能だけでなく、オブジェとしての自立した存在感と佇まいを持ち、焼物で作られたStoneware sculptureとともに、同じフォルムのプロダクトをそれぞれ異なる日本の技術によって作り出したものづくりの妙です。

Bronze casting sculpture

Stool
φ36×H42
Bronze
BDTI-701

Stoneware sculpture

 

Stoneware sculptureは、島根県・石見地方に伝わる石見焼の技術を生かし製作しました。

石見焼とは、瓦や水甕などのように強度のある焼物づくりを特徴とする石見地方に続く焼物です。この地方で採れる土は防湿と防塩効果に優れ、瓦や水甕、漬物瓶などに適していました。最盛期には100軒を超える窯元で賑わっていましたが、時代の変化と共に化学製品や金属製品の普及によって石州瓦や石見焼は需要が減少し、今では伝統的な製法を守っている窯元はごく僅かとなりました。

 このプロダクトは職人が土づくりから成形、焼成に至るまで、全ての工程を手作業で製作しています。壺や水甕などの大きな品物を沢山手掛けてきた窯元で、大きな壺になると高さ2メートル、直径1メートルを越え、大物作りには定評がある石見焼特有の「玉づくり」と呼ばれる技法で、紐状に伸ばした粘土を、円を描きながら積み上げ、その積み上げた粘土を、轆轤を回しながら全身を使って成形してゆきます。かなりの腕力を要し、迷うことなく一気に形を作り上げる熟練の技が求められます。

 完成したStoneware sculptureは一つひとつ異なる表情を持ち、焼物ならではの個性と存在感を持ちます。素地の土の色を映し出した透明釉は素材の素朴さと質感が現れ、多様な空間の中で寡黙に馴染みます。土は磁器と陶器の中間である半磁器で、硬質で防湿性にも優れているので、庭やテラスといった屋外での使用を可能にしました。 

また、焼物の技術を活かしたStoneware sculptureは、同様のフォルムを持ち、日本の鋳物技術を集約したBronze casting sculptureとともに、それぞれ異なる日本の伝統的なものづくりの技術と素材によって生まれたプロダクトの独自性を表現しています。

Stoneware sculpture

Stool
φ36×H42
Ceramic
BDTI-601